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オフショア開発時の注意点



Q 開発予算が厳しいので,当社が受託した開発案件の一部をインドや東南アジアのシステム会社に委託しようと思います。どのような問題点がありますか。
A 言葉の壁をはじめとして,オーバーヘッドがかかるという実務上の問題に加え,国際契約であるため,法令の違いを意識し,国内取引以上に契約内容に注意する必要があります。


(a)国際契約の留意点



契約の相手方が海外企業であっても国内企業であっても契約が重要であるところには違いないです。欧米企業が相手方の場合に限らず,アジア企業の場合でも,多くの契約書は英語で作成されます。こうした国際契約固有の注意点として,準拠法,国際裁判管轄があります。

その契約解釈,適用において,どこの国の法律が適用されるのかが準拠法の問題であり,紛争が生じた場合にどの裁判所に提訴するのかが国際裁判管轄の問題です。日本企業の場合,日本法を適用し,紛争は日本国内の裁判所としたいところですが,仮に日本で外国企業に対して勝訴判決を得たとしても,日本国内に財産を持たない外国企業の場合,その国で執行ができるかという問題もありますので,裁判管轄の交渉,検討の際には留意が必要です。

(b)システム関連委託契約固有の留意点



国内の取引の場合,提示する仕様が甘かったり足りなかった場合でも,受託者が柔軟に対応してくれたりすることも多いでしょう(決して推奨するわけではありませんが)。しかし,相手が外国企業の場合,そもそも変更に応じてくれるとは限りませんし,うまくねじ込む,という手法はなかなか通じません。よって契約締結時点において,作業範囲,納入成果物,仕様などの基本的事項についてしっかりと書面で合意をし,契約書の添付資料とする必要があります。

開発以外でも,システム,ゲームなどの保守・運用についても同様です。海外企業との保守・運用契約では,国内取引と比べてかなり詳細な条件が定められます。例えば,ダウンタイムや,トランザクション量に関するサービスレベルアグリーメント(SLA)の要求水準のほか,問題が生じた場合や変更を求める場合の手続なども細かく決まっています。一見すると契約の理解や交渉が面倒なように思えますが,コミュニケーションの齟齬を回避するためにも,契約書で義務水準,手続について合意しておいた方がその後の作業がスムーズに進むといえます。

(弁護士 伊藤雅浩 H25.3.31)