情報システム,ソフトウェア,ネットビジネスなどITに関する法律問題を解決!

システム開発訴訟の審理



Q システム開発代金を支払ってくれないので,訴訟を提起しようと考えています。しかし,裁判所はシステム開発の素人ですから,本当に公平な判断がなされるのか心配です。また,仮に公平に判断してくれるとしても,ものすごく長い時間がかかってしまうのではないでしょうか。
A システム開発代金を支払ってくれないので,訴訟を提起しようと考えています。しかし,裁判所はシステム開発の素人ですから,本当に公平な判断がなされるのか心配です。また,仮に公平に判断してくれるとしても,ものすごく長い時間がかかってしまうのではないでしょうか。


(a)システム開発訴訟には時間がかかる?



システム開発紛争では,提案書,契約書などのほか,仕様書や議事録,メールなどの大量の証拠が提出され,多数の不具合が指摘されるなどの理由により,審理が長期化する傾向があります。

(11)などでも紹介したスルガ銀行vsIBM事件(東京地裁平成24年3月29日判決)では,訴訟の提起から4年たって一審判決が出ました。そして現在も控訴審係属中ですから,最終的な解決がいつになるかはわかりません。係争の額が数百万円規模の事案であっても,争点が多岐にわたるケースは少なくなく,年単位の時間が必要になる場合があります。

(b)システムの品質は訴訟でどのように判断される?



システム開発訴訟における特徴として,いくつか挙げられます。
  • 調停に付されることが多い

裁判官,弁護士,専門家から構成される調停委員会による審理で柔軟かつ迅速な和解案の提示が行われることがあります。東京地裁では,この種の紛争をよく取り扱っているメンバーから構成されることが多く,通常の訴訟より話が早かったりします。

  • 専門委員が参画する

調停以外の場合でも,ベンダ出身者などが,専門委員として裁判所のアドバイザ的なポジションに就くことがあります。ただし,その専門委員個人の経験,知識によって意見のブレが大きいというリスクもあります。

  • 検証が行われることがある

完成あるいは瑕疵の存否が激しく争われるケースでは裁判所関与の下でシステムを動かすということも行われます。ただし,この場合でもデータ,環境,シナリオなどの検証条件を事前にしっかりと決めておかねばならず,その条件設定に長い時間がかかることもあります。



以上のような特徴があることから,システム開発に関する紛争は,医療,特許などと同様,専門的に取り扱っている弁護士のほうが効率的・的確な対応ができるといえます。

(弁護士 伊藤雅浩 H25.3.31)