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開発業務と下請法



Q スマートフォン向けアプリの開発を受託しました。当社は基本デザイン,企画までを担当し,開発は協力会社に再委託します。納品・検収後,翌々月末払いでお願いしようとしたところ「下請法違反だ」と言われました。
A 下請法が適用される取引であれば,「納品・検収後,翌々月末払い」という支払条件は,下請法が定める条件(給付の受領日から60日以内の支払い)に反します。下請法は,支払期日だけでなく,各種の規制がありますので確認が必要です。


(a)下請法の適用条件



下請法は,ソフトウェア開発・保守など,IT業界で適用される場面が多く,実務上重要な位置を占めています。下請法が適用される「親事業者」「下請事業者」の範囲は,資本金の額によって明確に線引きしています。例えば,プログラム作成の業務委託の場合には,次のような関係である場合にのみ適用されます。 



プログラム作成以外の情報成果物の作成については,次のとおりです。



資本金要件のほか,取引の種類として,
(1) 情報成果物を業として提供している事業者が,その情報成果物の作成の行為を委託する場合
【例】ソフトウェア開発業者が,ユーザに販売するパッケージソフトの一部の開発を委託する場合
(2) 情報成果物の作成を業として請け負っている事業者が,その情報成果物の作成の行為を委託する場合
【例】受託型のソフトウェア開発業者が,ユーザから請け負った開発業務の一部を委託する場合
(3) 自社で使用する情報成果物の作成を業として行っている場合に,その行為を委託する場合
【例】コンテンツ制作会社が,自社のウェブサイトの作成の一部を委託する場合

に適用されます。上記のほかにも,ソフトウェア保守や,ユーザサポート業務を他社に委託した場合には「役務提供委託」に該当し,下請法が適用されます。詳しくは,公正取引委員会・中小企業庁のホームページあるいは専門家にご確認ください。

(b)下請法が適用された場合の規制



次のようなケースを考えてみます。

<ケース1>

X 「B社には毎回同じような内容で発注しているから,今回は契約書も注文書も要らないね。金額も口頭で決まっているし,請求書ベースで進めよう。」

<ケース2>

Y 「ユーザのC社からは,検収した月の翌々月末日払いでお願いって言われています。」
X 「B社への支払は,お客さんのC社から入金後ということにできないかな。」

<ケース3>

Y 「B社から保守業務に関する請求書が届いています。」
X 「保守案件が思ったより少なかったからヒマだったはず。1割くらい減額してもらうよう交渉したいところですね。」

<ケース4>

Y 「ユーザのC社から,急にプロジェクト中止の連絡がありました。」
X 「B社の作業分はほとんど終わっているんですけれど,お金も払えないから受け取れないですね。」

上記の各行為は,「発注書面交付義務」(ケース1),「代金支払遅延」(ケース2),「対価の減額」(ケース3),「受領拒絶」(ケース4)に該当し,いずれも下請法違反となります。そのほかにも,各種の規制がありますので,詳しくは公正取引委員会・中小企業庁のホームページあるいは専門家にご確認ください。

(弁護士 伊藤雅浩 H25.3.31)